CONTENTS

お役立ち記事

資金関連

必要運転資金の算定式

  • 投稿:2023年03月29日
  • 更新:2023年09月02日

資金管理の重要性を考える際に、頻繁に耳にする「運転資金」とは一体何なのか、その公式が示す意味について探ってみたいと思います。

目次

短期資金管理

運転資金管理は資金繰りの中でも短期的な側面を担当し、経営において欠かせない要素です。

「運転資金とは何か」を調べると、この公式を目にします。

「売上債権+棚卸資産ー買入債務=運転資金」

式の説明として、この結果が、大きくなるほど運転資金の必要性が高まっている、小さければ資金の必要性はそれほど高くないと・・・

しかし、例えばこの結果が大きい場合、見方によっては、売上債権が大きければ入金予定の金額も大きく、買入債務が小さければ支払額も小さいのだから、資金の必要性は小さいのでは?とも考えられます。どうもすっきりしません。

そこで、ひとまず公式から一歩踏み出して、普段のビジネス運営において運転資金がどのように影響するかを考えてみたいと思います。

それぞれの要素の増減による影響は?

売上債権は将来の入金、買入債務は将来の支払、棚卸資産は今後債権へと形を変え最終的に資金を生み出す予定の資産、です。

  • 売上債権の増加

この売上債権が大きい、今後の入金が多くたまっている(回収ができていない)状況は、今今で考えると、手元の資金が不足しており、資金が必要な状況になります。

場合によっては、例えば売掛金を担保に借入を行って手元の資金を確保し、債権の回収ができた時点で借入金を返済する、という方法をとるかもしれません。

一般的に売り上げが増加している状況では、その他の費用も一緒に増加していると考えられます。そもそもの仕入の増加や、追加の人員や従業員の残業代等の発生、事業所を普段より多く使用することによる水道光熱費の増加等があるかもしれません。これらの支払は事前、あるいは比較的短いサイクルの中で定期的に訪れ、債権回収前に行われることが多いため、この状況で債権回収がないというのは資金繰り的には厳しく、資金の必要性が高まっているといえます。

  • 買入債務の減少

次に、買入債務が少ない、今後の支払が少ない状況では、随時支払いを行っていると考えられるため、手元の資金が一時的でも減っている状況と考えられます。逆に、買入債務が大きくなっている状況は、債務の支払いを待ってもらうことができている状況とも言え、債権の回収が終わってから支払えばよいため、資金の必要性は高まっていません。

では、そもそも発生する買入債務が少なかったら、そもそも払わないのだから資金は必要ないのでは?とも思います。

これは正しいと思います。ただ、事業規模拡大を目指して経営を行っている以上、通常、債務も同時に発生しますので、そもそも発生する債務が少ないことによる債務の減少は、一般的には考えにくい状況だとは思います。

  • 在庫の増加

最後に棚卸資産が多い、在庫がたまって売れていない状況は、手元の資金がありません。新しくアクションを起こすにも回収ができていないため、追加の資金が必要になります。

こうみていくと、この式の結果が大きくなるほど資金の必要性が高まっていくというのはやはり正しいと思います。

運転資金の増減によって借入をおこなっていないのは?

式通りで考えるなら運転資金相当は借入等が必要になるようだけど、そのような借入は毎回行っていないし、気にしなくてもなんとかなっているという方もいると思います。それについては、短期の運転資金を過去の利益によって創出され、積み立てられた資金や当初に準備した資本金等で賄っている状況だからだと考えられます。すなわち、自己資本で短期の運転資金を賄っている状況です。

ちなみに、この自己資本は一般的に長期の運転資金部分と説明されます。長期の運転資金については、別の記事でまた考えてみたいと思います。

対策として

運転資金の増減要因となるものが、将来どのような状況になるのかを把握することが重要になります。将来の計画をたて、今後の見込みを事前に把握することが重要ということです。

当たり前ですが、借入も急にはできません。運転資金はビジネスの持続的な成長と運営に不可欠な要素であり、適切な資金管理が成功への鍵となります。日ごろから自社の決算や資金の状況を知り、今後の事業展開をイメージしながら資金管理を進めていくことが大事になってくるのではないでしょうか。

CONTACT

お問合せ

電話・メールでのお問合せはこちらからお願いします。

対応地域

関東|北陸|四国|九州|沖縄

必要運転資金の算定式